日光過敏。
これがためにどんなにか今まで行動が制限されてきたことだろうか。
結果家族にも迷惑を掛け、ほぼ全ての家事を主人に押し付けてきたのだ。
そういうことからか、なかなか隅々まで家の手入れが行き渡らないのが現状である。
◇
ずっと気になっていた、家の脇道に生えている雑草たちがあった。
家は角地なので2方向に対して道が伸びていることになる。
一方の玄関前は、まだましなのだけれど、もう一方の北側の道に関しては、毎年夏になると雑草が伸び放題になり、けれど主人はそんなことに構っている暇がなく、相当みっともなくならなければ、引っこ抜かれないのであった。
「お父さん、雑草は抜かないの?」
それとなく主人に抜いてくれるようにお願いする。
主人は「そうだね」と返事はするのだけれど、他にやるべき家事が山のようにあるためか、やはり行動には出なかった。
「じゃあ私がやるよ」
ぎょっとした顔で主人は慌てて
「お母さん1人には任せられないよ」
ということで、私は大きな帽子に日焼け用手袋、それに首にはタオルといういで立ちで、外へと向かった。後を追うように主人もついてくる。
◇
何年ぶりだろうか。雑草を抜きちぎった時の青臭さ。
主人と私は2人して一気に道の雑草を抜いてしまった。
ほんの5分ぐらいの出来事だったのだろう。
それでも私は満足であった。
気分を良くした私、今度は玄関横にあるやはり伸びっ放しのローズマリーを刈り込もうと、主人に申し出る。
心配そうな顔をする主人ではあったが、他に家の用事が沢山あるためか「あんまり無理しないでね」という言葉を残し、私にその場を任せてくれた。
剪定用のハサミでパチパチと刃を入れていく。ローズマリーの強い香りが辺りに拡がる。
こうして私は気の済むまで手入れをし、満足を手に家の中へと入っていった。
◇
「大丈夫だった?」
主人が心配そうに声を掛けてくる。
答えは『大丈夫』である。
勝因としてはやはり、紫外線量の少ない早朝に庭仕事したことだろう。
ひんやりとした朝の中、大して体力を奪われず、それに何といっても昼間に比べて少ない紫外線の量。
それらが手伝い、私は少しの間であったけれど外に立ち止まることができたのだった。
草の匂いと太陽の光、もう私には感じることのできない、関係ないものだと思っていたけれど。
工夫次第では掴むことのできる感覚であったのだ。