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告白 その24

それにしても父が連れてくる女のレベルは下がったものだなぁ、と感じていた。

というのも父はだいぶ年下の女を好む傾向にあることは、松本ちづる以外の関係したであろう女からも理解できたからである。

それなのにこの美月という女は50代前半くらいであり、初老手前の父にはお似合いの釣り合い方であったけれど、父は果たして本当にそういう関係を望んでいたのだろうか。

おそらく金回りが悪くて若い女が引っかからず、こんな場末のスナックママのような女にすがるしかなかったのだろう。

一方美月は美月で必死だったのかもしれない。

母子家庭を守るために、父から1円でも多くの金を絞り取ろうと画策して、自分の友人を家政婦として送り込んできたりまでしていた。

とにかく家の内部を探ろうとしていたのだった。

美月は家にくると、挨拶もなしに父の部屋にしけ込み、何時間も居座っていた。

私たちに見せつけるためなのか、父の部屋の外にわざわざ無造作に下着を置いたりして、下品極まりない女であった。

その白いブラジャーはヒモ部分が薄汚れて変色し、父はこんな女とセックスしているのかと苦笑するしかなかった。

ブラジャーはマーキングに近く、とても動物的でインテリジェンスのかけらもなかった。

そして水商売女特有なのかそういう性格が水商売に向くのか、美月は明らかな嘘を平気でついていた。

中学校と高校は桜蔭で、大学は成蹊大学。

桜蔭出身で成蹊に進学するのか、というのは甚だ疑問であったし、仮に桜蔭から成蹊に進学したとするならば、それは桜蔭在籍時に勉強をしてこなかった、ということになる。

そのくらい桜蔭というのは進学校であり、日本全国の女子校のトップであるからだ。

ただ美月の1人息子というのが、美月に似て勉強が嫌いなのか、模試の成績が全く振るわず浪人していたので、そういう意味では美月の学歴は頷ける部分もあった。

そしてこの息子、高校時代に覚せい剤をやって捕まったことがあるらしく、にもかかわらず医者を目指すとかで、毎年毎年美月に高い金を払わせては予備校に通っていた、いやおそらく籍を置いていただけのようなのだ。

そうして3浪の末私立の医学部に入学できた息子は、その年の暮れ、私の家に彼女を連れて挨拶にきた。

その時の息子は明らかに言動が可笑しかった。冬なのに暑いのか、おでこにビッチリと玉の汗をかき、そして若いのに髪が後退している。

彼だけがわけの分からぬことをまくし立て、場を凍り付かせていた。

「俺が医者になるのは金がほしいから」

「俺は金持ちしか診ない。貧乏人を診ても金が取れない」

「母親のことは殺して、山の中に捨てようと思っている」

唾を飛ばしながら朗々と語る息子。

いつものことなのか、美月は息子を叱るわけでもなく、彼女も彼を制するわけではなく、ただ黙って演説を聞いているだけだった。

他の場に居合わせた人間はびっくりするだけで、この親子関係の異常さだけを見せつけられた、そういう大晦日であった。

後に聞いた話ではあるが、美月の息子というのはどうやら裏口で医学部に入学したらしく、そうなると周りのレベルに付いていけなくなり、留年を繰り返し、結局退学となったらしい。

そのイライラを解消するためなのか、再び覚せい剤に手を染め、中学生の女の子に手を出し、そして手を出した子の兄というのが半グレ集団に属していたようで、多額の金を要求される。

結局渋谷にあった美月の家は、クスリ代やら何やら息子に関する支払いで売り払うことになったようで、今彼女たちがどこでどうやって生きているのか、というのは知る由もない。

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